PC操作が苦手でも大丈夫!地域でオンラインの居場所を始めるヒント
地域活動にオンラインを取り入れるということ
地域でのメンタルサポート活動や交流の場づくりに取り組んでいらっしゃる皆様にとって、対面での活動は最も馴染み深い形かと思います。しかし、近年では様々な理由から、自宅から気軽に地域とつながりたい、というニーズも増えています。例えば、外出が難しい方、高齢の方、遠方に住む元住民の方などが挙げられます。
このようなニーズに応えるため、地域活動にオンラインの要素を取り入れることが有効な選択肢の一つとなっています。オンラインと聞くと、「難しそう」「PC操作が苦手だから無理だ」と感じられる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、専門的な知識がなくても、身近なツールを使って、地域活動の延長としてオンラインの場を始めることは十分に可能です。
この記事では、特にPC操作に苦手意識がある方でも取り組みやすい、地域でのオンライン交流や居場所づくりの始め方と、活動を続けるためのヒントをご紹介します。
どんなオンラインツールを使えば良いのか
オンラインでの交流と聞くと、様々なツールが思い浮かぶかもしれません。しかし、地域活動で、特にPC操作に慣れていない方が主体となって始める場合は、シンプルで分かりやすいツールを選ぶことが重要です。
シンプルで始めやすいツール例
- LINEのビデオ通話機能:
- 多くの人が日常的に使っているLINEには、グループでのビデオ通話機能があります。特別なアプリのインストールは不要で、使い慣れたLINEから始められる点が大きなメリットです。スマホやタブレットでも手軽に参加できます。複数人での同時通話も可能です。
- Zoom(ズーム):
- オンライン会議によく使われるツールですが、無料プランでも最大100人、40分までのグループ通話が可能です。パソコンでもスマホでも使え、画面共有などの機能もあります。操作は比較的シンプルですが、参加者が初めて使う場合は、事前に簡単な使い方を伝えるなどの工夫があると良いでしょう。無料版で十分な場合が多いです。
- Skype(スカイプ):
- 古くからあるビデオ通話ツールです。無料で使用でき、安定した通話が可能です。Zoomと同様に、初めての参加者には使い方の案内が必要かもしれません。
これらのツールに共通するのは、「顔を見て話せる」という点です。地域での交流は、顔が見えることで安心感が生まれやすいものです。まずは、ご自身や活動に関わる方々が普段から使っている、あるいは抵抗なく始められそうなツールから試してみるのが良いでしょう。
具体的にどんな活動ができるか
オンラインの居場所や交流会と聞くと、何をすれば良いのだろうと思われるかもしれません。対面での活動と同じように、無理なく楽しめる内容が一番です。
オンラインでの活動アイデア例
- オンラインおしゃべり会・雑談会:
- 特定のテーマを決めず、参加者が自由に話せる時間を作ります。「最近あった良いこと」「今日の天気の話」「好きなもの」など、軽い話題で気軽に話す場です。週に一度、決まった曜日の決まった時間に開催するなど、定期的に開くことで参加しやすくなります。
- オンライン茶話会:
- 各自好きな飲み物やお菓子を用意して、画面越しに一緒にお茶を飲むように話します。「オンラインだけど一緒にお茶しましょう」と誘うイメージです。リラックスした雰囲気で会話が弾みやすいです。
- 簡単な趣味の紹介や情報交換:
- 参加者それぞれの得意なことや好きなこと(園芸、手芸、料理など)を画面越しに紹介したり、情報交換をしたりする時間です。作品を見せ合ったり、簡単な手順を説明したりすることもできます。
- 地域情報の共有会:
- 地域のイベント情報や、役立つ情報などを持ち寄って共有する会です。パソコンが苦手な方でも、誰かが情報を読み上げたり、簡単な資料を画面共有したりすることで参加できます。
これらの活動は、特別な準備や専門知識を必要としません。「話したい人が、話したいときに話せる」というゆるやかな繋がりを意識すると良いでしょう。
活動を始めるためのステップ
PC操作が苦手な方がオンライン活動を始める場合、無理なく進めるためのいくつかのステップがあります。
- まずは仲間内で試してみる:
- いきなり広く呼びかけるのではなく、まずは活動に協力してくれる数人の仲間や、PC操作に比較的慣れている方と一緒に、選んだツールで接続してみましょう。ビデオ通話の使い方や、画面の見え方などを確認します。
- 簡単なマニュアルを作る(またはもらう):
- 使うツールについて、「電源の入れ方」「アプリの開き方」「参加用URLのクリックの仕方」「マイクのオンオフ」など、最低限必要な操作を文字や写真でまとめた簡単なマニュアルがあると、参加者が安心できます。インターネットで「Zoom 使い方 初心者向け」「LINE ビデオ通話 使い方」などで検索すると、分かりやすい情報が見つかる場合が多いです。それを印刷して配るのも良いでしょう。
- 参加を希望する人に個別サポート:
- 参加したいけれど不安がある方には、事前に個別に操作方法を教えたり、一緒に接続練習をしたりする時間を持つと、参加のハードルが下がります。ご家族に操作を手伝ってもらうようお願いするのも一つの方法です。
- 「お試し参加」や「見学」を設ける:
- 初めての方のために、本番の交流会とは別に、接続テストだけを行う「お試し参加」の日を設けたり、初回の参加は「見学だけでもOK」としたりすると、気楽に参加しやすくなります。
- 無理のない頻度と時間設定:
- 最初は週に一度、30分〜1時間程度など、短時間で無理のない頻度から始めてみましょう。慣れてきたら時間や頻度を増やすことも可能です。
活動を続ける上での課題と工夫
オンラインでの活動には、対面とは異なる難しさもありますが、工夫次第で乗り越えることができます。
- 接続トラブルへの対応:
- 「声が聞こえない」「画面が映らない」といったトラブルは起こり得ます。慌てずに、参加者の中でPCに詳しい人に助けてもらったり、事前にトラブルシューティングの簡単な手順(再起動してみる、音量を確認するなど)をまとめておいたりすると良いでしょう。どうしても接続できない場合は、電話でのフォローなども検討します。
- 参加者同士のコミュニケーションを円滑に:
- オンラインでは同時に話し始めると声が重なって聞き取りにくくなることがあります。話すときはマイクをオンにすること、聞き終わったらマイクをオフにすることなどを参加者に伝えるほか、進行役が意識的に発言の機会を振り分けるなどの配慮があると良いでしょう。
- 参加者の状況を把握する:
- 画面越しだけでは、参加者の体調や気持ちの変化に気づきにくい場合があります。定期的に個別に連絡を取ったり、信頼できる参加者に「今日の様子はどうですか」と尋ねてもらうなど、オンライン以外の方法での見守りも組み合わせると安心です。
- 資金や行政との連携:
- 無料ツールを使う限り、大きな運営資金は不要です。通信費は個人の負担になりますが、活動場所を借りる費用はかかりません。より安定した運営や、参加者の通信環境整備(無料Wi-Fiスポットの案内など)について行政に相談してみるのも良いかもしれません。また、行政や社会福祉協議会などが開催する「デジタル講座」のような機会を活用し、参加者のオンラインツールへの慣れをサポートしてもらうことも考えられます。
まとめ:小さな一歩から始めてみましょう
地域でのオンラインの居場所づくりは、PC操作に不安がある方にとって、最初はハードルが高く感じられるかもしれません。しかし、まずは身近なツールを使って、数人の仲間と一緒に短時間試してみることから始めてみてはいかがでしょうか。
オンラインには、場所や時間の制約を超えて、今まで地域活動に参加しにくかった人々とも繋がれる可能性があります。完璧を目指す必要はありません。参加者が「ちょっと話せて良かったな」「顔を見られて安心したな」と思えるような、ゆるやかで温かい場を目指して、小さな一歩を踏み出してみてください。活動を通じて得られた経験や悩みは、きっと次の活動への大切なヒントとなるはずです。